- なおし
- I
なおし【猶し・尚し】〔「し」は強意の助詞〕(1)それでもやはり。
「橘は花にも実にも見つれどもいや時じくに~見が欲し/万葉 4112」
(2)ますます。 いっそう。「懐の内を放つそら~悲(カナシミ)の心たへがたし/今昔 9」
(3)あたかも。 まるで。 多く「なおし…の如し」の形で用いられる。II「侍(サブライ)の言葉は綸言にも同じ。 ~汗の如しとて/義経記 8」
なおし【直し】(1)直すこと。 修繕すること。 修理。「まだ~がきく」「~に出す」
(2)直して正しくすること。 訂正。「~の多い作文」
(3)「直し味醂(ミリン)」の略。(4)「直し酒」の略。(5)器物などの修繕を業とする者。「~よとよべば錠まへはらをたち/柳多留 16」
(6)江戸時代遊郭で, 客が時間を延長して遊ぶこと。III「新川の出番で~になりやした/咄本・無事志有意」
なおし【直し】〔「なお(直)」の形容詞形〕(1)まっすぐである。 ゆがんでいない。「いと~・き木をなむおしをりためる/枕草子 35」
(2)整っている。 乱れていない。「えせ者の家の荒畠といふものの, 土うるはしうも~・からぬ/枕草子 144」
(3)普通である。「目も鼻も~・し/源氏(総角)」
(4)公明正大である。 正しい。IV「世の静かならぬことは, かならずまつりごとの~・く, ゆがめるにも侍らず/源氏(薄雲)」
なおし【直衣】⇒ のうし(直衣)
Japanese explanatory dictionaries. 2013.